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【レポート】ETSUZAN八合目会議を10月25・26日に開催

2025/11/20

2025年10月25日・26日の2日間、新潟県長岡市のミライエ長岡にて、IT人材育成プログラム「新潟版未踏的人材育成事業 “ETSUZAN”」の中間発表イベント「八合目会議」が開催されました。

「八合目会議」は、4ヶ月間の開発期間の折り返し地点にあたる中間発表会です。各チームがこれまでの進捗や課題を共有し、最終成果発表に向けて方向性を磨く場として実施されました。

ETSUZANとは

ETSUZAN(越山)は、新潟県を対象とするIT人材発掘・育成プログラムです。「NOT、ビジコン。奇人、求む。」を合言葉に、新潟から世界を変える人材を発掘し、開発に没頭できる環境を提供します。地方では、夢中になって開発に取り組める場が少なく、経験格差が広がっているのが現状です。ETSUZANはこの課題を解消するために、新潟県内の企業・自治体・大学などが一体となって取り組み、若手クリエータが挑戦できるエコシステムを築いています。

▼採択されたクリエータの詳細は、こちらの記事をご覧ください
【ETSUZAN2025】採択クリエータが決定!
https://etsuzan.org/posts/creator2025-information

【レポート】ETSUZANブースト会議を9月6・7日に開催
https://etsuzan.org/posts/boost-meeting-2025

クリエータからの発表

ブースト会議から約2ヶ月。7チームのクリエータが再び集まりました。今回は事前に10分間の発表を録画し、各チームやメンター、事務局からExcelにびっしりとコメントをもらうスタイルを採用。当日は、事前に受けた質問やコメントに対する回答を中心に議論が展開されました。

この2ヶ月間の成長は目覚ましく、ブースト会議である程度の軸を決めたチームが実用に向けてさらなる改善を重ねていたり、一度決めた方向性をヒアリングを重ねて転換したチームなど、多様な進捗が見られました。

メンター講演①「未踏2年間で学んだこと」

東京科学大学生命理工学院生命理工学系4年/株式会社Leacron COO 吉田紗彩 さん

メンター講演では、クリエータたちが開発の折り返し地点で直面する課題に寄り添い、実践的な学びを得られるよう、未踏経験者2名をゲストスピーカーとして招きました。

最初の講演では、未踏IT2023スーパークリエータ、未踏アドバンスト2024出身で、現在は起業家として活躍する吉田紗彩さんが登壇。

大学で微生物のゲノム解析を専門とする一方、ロケットサークルのメンバーとともに、月経中に紙ナプキンからの経血漏れを検知するショーツ型デバイス「アンリーク」の開発をスタート。毎週木曜日にファミレスに集まってミーティングを重ね、チームメンバー4人のうちエンジニア2人が休学して開発に打ち込むなど、情熱を注いできました。ご自身の経験をもとにした教訓を語りました。


教訓①:MVB(最小実用価値)を決めるべきだった

開発を進める中で、センサーの感度や基板の耐久性など、次々と課題が浮上。バージョン1から6まで試作を重ねるうちに、「気づけば課題を潰すこと自体を楽しんでいた」と吉田さんは振り返ります。

「全部を完璧にするより、価値を伝えられる最小限の機能に絞ることが大事」

方向転換のきっかけは「一番は誰が喜んでくれるか」という原点回帰。デザインをスコープ外とし、MVPの受け入れ条件を5つに絞り込んだことで、プロジェクトは前進しました。

教訓②:ターゲットユーザーの選定は重要

未踏IT期(2023年)では、知人10人へのヒアリングを実施したところ、多様な意見が集まりすぎて開発方針がブレてしまいました。協力的でポジティブな意見は得られたものの、「悩みが深くない」ケースが多く、忖度も混じっていたと分析します。

その経験を踏まえ、未踏アドバンスト期(2024年)では ターゲットを絞り込み、SNSなどでコアユーザーを募集。デバイスを郵送して実際に使用してもらい、インタビューでは「意見」ではなく「行動」を聞くことに注力。定量的な10段階アンケートも実施し、要件定義書を作成しました。

「"いいね"と言われても、購買意欲につながるとは限らない」

好意的なフィードバックの落とし穴は、今のフェーズのクリエータにとってまさに必要なアドバイスでした。

アンリーク、そして起業へ

未踏終了後、アンリークは一旦開発を停止。基板の耐久性不足、体への装着実現性の低さ、数千万円規模の資金が必要なハードウェア開発の壁に直面したためです。

しかし、パートナー企業を獲得し、社内モニターの事前準備を進めながら、2025年1月に同じメンバーで株式会社Leacronを設立。アンリークで培ったセンサー技術を活かし、「しなやかなデバイス開発」へと挑戦を続けています。

吉田さんが未踏ITに採択されたのは大学2年生。大学4年生になった今も、クリエータたちに最も近い先輩です。等身大の経験談は、「今やるべきこと、気をつけること」を具体的に示してくれました。

メンター講演②

一般社団法人未踏 未踏ジュニア代表 鵜飼佑 さん

続いて登壇したのは、未踏2012出身で、MicrosoftのOfficeやMinecraft開発チームにて教育×プロダクト開発を行い、現在はGoogleで生成AIによる検索エンジンの開発PMを務める鵜飼佑さん。「ユーザーヒアリングの本質」から「未踏プロジェクトに求められる視点」まで、幅広い知見を共有しました。

「ただやればいい」ではなく「価値を検証する」

鵜飼さんは、ユーザーヒアリングを「絶対に必要なものではないが、ただやればいいってものでもない」と前置きした上で、その本質を「自分が作りたいものと対象ユーザーのギャップを埋める作業」と定義しました。

実践的な手法として、ユーザーに日記を書いてもらう、現場観察を行う、複数プロトタイプを比較してもらうなど、行動ベースの調査法を紹介。「解決策の提示は、ギリギリまで避けたほうがいい」と、ユーザーの本音を引き出すための姿勢を強調しました。

「5人のテストで85%の問題が見つかる」

UX改善では、プロトタイプA・B・Cを並べ見せて、どれがいいか聞く方法や、「他の人に勧めるか」を尋ねることでフラットな意見を得られると教えていただきました。さらに、提案した解決策に価値があったのかを検証するためには、継続率を測ること、ABテストをしてみることなどを紹介しました。

「未踏性」を持つプロジェクトとは

ETSUZANは新潟版未踏的人材育成事業です。今後、現在のプロダクトを未踏に出すことになった時の視点からもお話をいただきました。

「なぜ他の誰でもなくあなたがやるのか」

この問いに答えることが大事だと言います。圧倒的なドメイン知識や独自の経歴、既に動いているプロトタイプ。これらが「あなたにしかできない理由」になると語りました。

さらに、Amazonの"Think Backwards"の考え方を引用し、成果報告会に向けたプレゼンを考える際、「どの部分がなかったら困るか?」を自問し逆算して考えることで、今やるべきことが見えるとお話しされました。

「自分が誰で、何を作ったのか。聴衆にスゴイと思わせろ」

成果報告会への喝とともに、プロダクトを作り切る経験と締め切りの持つ力について語りました。何より、作っている自分自身がワクワクすることが大事だと。

トップ企業での研究開発経験を持つ鵜飼さんの言葉は、クリエータたちの視座を大きく引き上げるものとなりました。

講演後は、メンターの2人が各チームを訪問しメンタリングを実施しました。


開発時間

2日間の開発時間は、PMと直接会える貴重な機会でもあります。

「4ヶ月間の過酷な開発期間の中で、PMはクリエータの心の支えになる"心の拠り所"的な役割も担っている」と話す新田PM。基本的にはクリエータたちの自主性を尊重しながらも、自身の経験に基づいたアドバイスを適宜行っています。

新田PMが担当する3チームは三者三様。AIを使ったプラットフォームを開発するチーム、ハードウェアを作るチーム、まつりの概念を言語化しようとするチームなど、多岐にわたります。自分の専門分野でないテーマにも「面白い」と感じながら、関連書籍を読んで手渡すなど、熱心にサポートしていました。

今回の中間発表を録画形式で行ったことにより、全員からさまざまなコメント、フィードバックを受け取ったクリエータたち。その中から何を実装し、何を作りたいのかを自分自身に問いながら2日間を過ごしました。

金澤PMからは、「ETSUZANは、みんなのことをよってたかって応援したがっている大人たちがいる。なんでも聞いて頼ってくださいね」という温かい言葉が送られました。

2日間の八合目会議を経て、クリエータたちは自らのプロジェクトを見つめ直し、最終成果発表に向けた課題を明確化しました。メンターの言葉を胸に、開発の「ラストスパート」となる2ヶ月が始まります。

成果報告会観覧者募集

12月21日(日)、新潟市NINNOで成果報告会を開催します。各チームによるプレゼンテーション(ピッチ)に加え、実際の成果物に触れていただけるデモスペースもご用意しています。

現地・オンラインのどちらでもご参加いただけますので、ぜひご覧ください。

【12/21開催@NINNO】 ETSUZAN2025成果報告会 観覧者募集中https://etsuzan.org/posts/presentation2025


ETSUZAN 2025 運営

ETSUZANは、NINNO(新潟市)を中心としたスタートアップコミュニティや、大学・教育機関が集積する長岡地域など、新潟県内の多様なエコシステムと連携しながら実施されます。県内全域を対象に、若手クリエータの挑戦を支え、地域横断的なネットワークと起業家精神の醸成を目指しています。

◾️運営事務局
Socialups株式会社、株式会社Wakumi、株式会社イードア、株式会社テレビ新潟放送網 

◾️後援
長岡市、新潟市、新潟県

◾️お問合せ先
info@etsuzan.org

◾️ETSUZAN 公式情報
ウェブサイト:https://etsuzan.org/
X(旧Twitter):https://x.com/etsuzan_org
Instagram:https://www.instagram.com/etsuzan_org/

〈事務局・運営〉Socialups株式会社、株式会社Wakumi、株式会社テレビ新潟放送網、株式会社KOIYAL、株式会社カナタ、一般社団法人越山

※本事業は、令和7年度「地方の若手人材発掘育成支援事業費補助金」AKATSUKIプロジェクト